素人が勝手に企業分析 「SEO会社フルスピード」
今回のコラムはwebやSEOとは直接関係無く、少々特異な話題+個人的な感情が多く含まれていますので、企業価値や株式に興味がない方は読み飛ばしてください。
8/2にSEO会社フルスピードが東証マザーズに上場しました。
SEO・SEM会社としては今までにアウンコンサルティングとアイレップがそれぞれ、マザーズ市場とヘラクレス市場に上場しています。両社とも業績自体は伸びているようですが、株価は酷いことになっています。
今回フルスピードは上場に際し、公募価格510,000円(公開株数3,300株)に対し1.6倍の830,000円という初値をつけました。
IPO(新規上場)銘柄は初日には寄り付かず、公募値の2倍、3倍の初値をつけることが珍しくありませんが、最近では注目されていない業種や企業だと公募割れする銘柄も多くなっています。
フルスピードの初値830,000円というのは、予想PER49倍にあたり、IPO銘柄という事を加味しても、同業他社と比較して個人的には高すぎたと思っています。
P/L(損益計算書)やB/S(貸借対照表)をパッと見る限り、素人目には特に問題のない様に思えますが、キャッシュフローの状態があまりよろしくないのと、ストックオプションの量と権利行使価格が気になります。
上場後7営業日の間に株価は405,000まで下がっています。サブプライムローン問題に起因した外国人投資家の売り圧力により、日本市場全体がが暴落している現状ですが、フルスピードが上場後、大幅に株価を下げた原因には、大株主の売却も関係していると思います。
個人的には、フルスピードもマザーズ市場で散見する「上場がゴール」パターンだったのではないかと思っています。
フルスピードの発行済み株式数は3万株ほどです。そのうち社長の芳賀麻奈穂氏が75%にあたる2万株を保有しています。
社長が75%もの株を所有しているのは結構珍しいことです。各証券市場にはそれぞれ上場廃止基準というものがあって東証の場合、
「少数特定者持株数(大株主上位10名及び役員が所有する株式の総数に上場会社が所有する自己株式数を加えた株式数)が上場株式数の80%を超えた場合」
上場廃止になるおそれがあります。
フルスピードは、大株主上位10名+役員が所有する株数を全て足すと80%を超えます。
目論見書によると、VC(ベンチャーキャピタル)全株と関係者等含む約2,500株にはロックアップがかかっているため、上場後6ヶ月間は売却することが出来ません。
ということは、社長もしくは役員が売らざるを得ない状況なのです。というよりは売る気マンマンだったということなのです。まともな会社であれば、社長を含めた役員にもロックアップをかけます。上場時に社長以下が喜んで株を売却するような会社を誰が欲しがるでしょうか?
また、証券市場には「5%ルール」というものがあります。
「上場企業の発行済株式数の5%超を保有している株主は、保有することとなった日から5日以内に内閣総理大臣に「大量保有報告書」を提出しなくてはならない。 さらに、その後、保有割合が1%以上増減した場合、変更のあった日から5日以内に内閣総理大臣に「変更報告書」を提出しなくてはならない。」
フルスピードの場合、社長の持株に1%以上の増減があった場合は報告義務が発生しますが、役員を含めたそのほかの株主で5%以上保有している人はいませんので、役員はどんだけ持ち株を売却してもなんの報告義務もないのです。
役員の持株比率を見る限り、社長と役員に信頼関係はないようですし、役員は売って然るべきといったところでしょうか。
仮に上位株主の役員が全保有株式を売却していた場合、1日にして5億円以上を個人で手にしたことになります。現時点で誰が売ったのかは分かりませんが、大株主の誰かが売ったことは明白です。
初日に持ち株を全株売却し、数日後半値以下で同数を買い戻していたら、持ち株は変わらないので信用も落とさずに、手元には2〜3億円残るというすばらしい状況になっています。
「上場すること」や「金集め」を「目的」にすると、こういった結果になるパターンが多い様です。今後大幅な下方修正をしたり、下方修正を連発するようであれば、上場ゴール確定です。
SEO会社なんて所詮こんなもんなのでしょうか。
公募と売り出しで得た17億円は何に使うのでしょうか?
もしくは何に使ったのでしょうか?
嵌め込まれた方はご愁傷様です。
【用語解説】
- 公募価格 : 上場時に決まった価格で優先的に売り出す価格
- PER : 株価と企業の収益力を比較することによって、投資価値を判断する際に利用される尺度。株価が500円で、EPSが50円ならば、PER(株価収益率)は10倍。
- EPS : 一株に対しての利益を表す。 EPS=当期利益/発行済み株式数。
- P/ L : 一会計期間における企業の経営成績を明らかにするための計算書。
- B/S : 一定時点における企業の財政状態を明らかにするための計算書。
- キャッシュフロー : 収入から支出を差し引いて実際に手元に残る資金の流れ
- ストックオプション : 一定期間内に、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で、所属する会社から自社株を購入できる権利。
- VC : ベンチャー企業に対して資金提供を行う投資会社(投資集団)のこと。
- 持株比率 : 発行済株式数に対する所有株式数の割合のこと。
- 下方修正 : 業績が予想されていた数値より悪化したので業績予想を修正すること。
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